夏は来ぬ

辺り一面、水を張ったばかりの田。風がそよぐと水面が漣立つ。時折、白鷺が舞い降り、轍が広がる。
遠くのビルや高圧線の鉄塔が、逆さに映る。
この季節の水田のある景色が好きだ。
夜は夜で、隣の民家のシルエットに窓の光が映り込む。
それが一番のお気に入りだったが、水田の主も高齢で稲作を卒業してしまった。
休耕田ほど寂しい景色はない。