予測変換

その先輩のお名前は、苗字としては珍しかった。フルネームは昔の銀幕の“スタア”の如く。歌劇団の団員かのように華麗な響きがした。
そう思い出したのはスマホの予測変換。
日常語としても珍しい単語を打ったところ、たまたま先輩の苗字と同じ音、漢字表記。変換候補の最初に下のお名前が出てきたのだ。
メールよりも電話か直接お会いすることの方が多かったのだけれど、スマホは先輩のフルネームを漢字で覚えていた。
亡くなって何年が過ぎたのだろう。
在りし日を思い出す。
スマホの予測変換のように鮮明に。